留学生の声 » タルチャバデル ビニタ

~留学生体験記~

『日本人は全国民一つになって、助け合ってこの被害を乗り越えようとする姿を見て、私はとても感動した。』

タルチャバデル ビニタ
(TALCHBHADEL BINITA)

第26期在日留学生
 専修大学大学院
文学研究科修士課程修了 (ネパール)

私は子供の時ネパールで放送された、日本のテレビドラマ「おしん」を見て、そのドラマの中で箸を使って食事をしているのを見て、とてもびっくりした。

そして日本の文化にとても関心を持ち、いつか機会があれば、日本という国へ行ってみたいと思った。その夢を叶え2007に日本語学校に留学生として来日することができた。

日本は私にとって初めての海外なので、生活は新しい体験の毎日であった。日本へ来て幸いにも、特に困ったことはなかったが、言葉も通じない私には、最初の 頃は生活に慣れるまでは大変だった。買い物するときも砂糖と塩を間違えたり、買いたい物が買えなかったりすることが多かったが、時間が経ってきたら自然に 慣れてきた。

日本に来て苦労したもう一つのことは、食べ物のことである。私のネパールでの食生活は野菜が中心であった。自分の好みとしては肉、魚、卵は一切食べなかった。

私は日本に来たとき料理ができなかったから外食しようとしたが、野菜しか食べない私は困ってしまった。そこで宗教的に食べてはいけない牛肉以外のものに挑戦することにした。そして今はなんでも食べられるようになった。

日本へ来てネパールと違ったことがたくさんあって驚いた。ネパールでは生ものは食べない。日本では生の刺身を食べるのを見てびっくりした。それだけではな く、日本人が砂糖を入れて料理をする習慣をみた時はとても驚いた。ネパールではお菓子を作るとき以外、料理に砂糖は一切使わない。ネパールでは主食はご飯 であるが、おにぎりの習慣はない。

私は、おにぎりを食べてみてとても感動した。私がネパールに帰ったら、ご飯をおにぎりにして食べる習慣をみんなに教えたい。

日本で生活をしているうちに驚いたことは、日本人の大人が漫画を読むことだ。ネパールでは、漫画は子供しか読まない。大人になったら自然に漫画を読まなく なってしまう。でも日本では、電車やカフェテリアで大人が漫画を読んでいるのを見て、とてもびっくりした。私は、ネパールで日本の文化について読んだこと があったので、自分の想像のなかで日本について色々なイメージを作っていた。

私は、日本人はみんな着物を着て道を歩いているだろうと思っていたが、実際に日本へ来てみたら着物はパーティーや結婚式などにだけ着る物だった。これも私 にとってとては、驚いたことの一つである。ネパールでは、女性はいつも民族服を着る。民族の服を着ることは、ネパールでは一般的なことである。服装だけ見 ると、日本はヨーロッパとあまり変わらない感じがする。自国と日本ではたくさん違うところがあるが、私は日本で印象に残ったことがたくさんある。日本人は どんなささやかなことでも、一生懸命にやことにはとても感動した。どんなことでもグループ行動し、お互いに助け合っていることは素晴らしいと思う。日本人 が、相手に考える時間を与えることにも感動した。

日本で生活をしていて、たくさんの経験をした。中でも今年(2011)3月11日に東北地方を襲った大地震と村、街を呑み込んだ津波の被害は、日本だけではなく世界の人々を悲しませた。

地震と言えば、私の国ネパールでは、私が4・5歳ぐらいの時にあったと聞くが、自分が揺れるのを体験したのは今度が初めてであったので、しばらくは心が震 えていた。まして、ネパールでは津波は地理的に起きないので唯々、びっくりしてテレビを見ていた。その時も日本人は全国民一つになって助け合って、この被 害を乗り越えようとしている姿を見て私はとても感動した。

機関誌「ふれあい」 №76号 冬季号 (2012.1.25発行)