留学生の声 » 蔡 青 峰

~留学生体験記~

『自分の国と日本。 日本人の考え方に感心する以外どうしてもこの「こだわり」を身につけたい。』

蔡  青 峰
(TSI, CHING-FENG)

第25期在日留学生
 東京国際大学大学院
国際関係学修士課程修了(中華民国)

なぜ、留学生として来日したの?
わざわざ自分の国を離れて求めるものはなんだ?自分に問いかける。

最初はただ日本のすばらしさの表面しか見えないから、たとえばACG(アニメ、コミック、ゲーム)、電子製品、重工業、日本に憧れを抱いていた。留学先は 日本しか考えない。来日した後知識や経験ではなく本物の日本に生活して、本物の日本人と付き合うにつれて、日本のすばらしさの裏も徐々にわかってきた。

私にとって一番考え深いのは「こだわり」ということだ。ものつくりの世界では、ほとんどの国でもものをつくるが、品質の差が大きい。なぜなら、こだわりが ついてないからだ。工場で生産のルールや品質にこだわってつくられた電気製品や自動車はほとんどの国が日本の右に出ることができない。そして法律を守るこ とや生活規則にこだわっているから、日本人の健康や平均寿命が世界でも優位になっている。

私の国の地理条件が日本とほぼ同じで四方を海に囲まれていて海外貿易は国の命綱である。なのになぜ大人からいつも、子供に[MADE IN JAPANはとてもいい]と言われたの?

私の国はちっとも悪くない。人情が厚いし、積極的で、頭の回転も速いのに。では、一体なぜだろうか?

それは考え方だから。考え方によって結果がはるかに違う。私の国と日本の両方とも工業製品を海外に輸出してお金を稼ぐことによって生きてきた。同じ目的だ が、やり方が違う。私の国の場合はなんでも「コストダウン」から発想して短い時間でより多い利益をとることばかり考えている。

だから品質にこだわれなくなってしまった。このことによって、まず観光地に行って工芸品を買うとき、いろいろ迷うが結局、全部の工芸品は工場から仕上げも のだ。それに加えて全部の店も同じものを売っている。品物が安くても買う気もおこらない。日本の考え方はどうやってより優れたものをつくって、お客様が私 のものを買う気になるよう気持ちを引き出すのだ。だから一生懸命がんばってこだわられた製品ができた。この考え方こそ日本製はいつも素晴しいと思われて、 商売も長く続けられるわけだ。

確かに日本人の考え方が硬すぎるといわれたことがあるが、この硬さがなければこんなに素晴しい国になれないだろう。留学の過程につれてこの「こだわり」と いう精神も徐徐にわかってきた。日本人の考え方に感心する以外、どうしてもこの「こだわり」を身につけたい。それを持てばどんな困難でも越えられる、そし てどんなことをやっても成功できると思う。

機関誌「ふれあい」 No.72号 冬季号 (2011.1.25発行)