留学生の声 » パム ザン ソン タイ

~留学生体験記~

『ベトナム人と日本人との同じ点がいくつかあります。 それは、冷静さや団結や相身互いな性格です。』

パム ザン ソン タイ
(PHAM THANH SON TAI)

第25期在日留学生
 東京国際大学大学院
経済学研究科修士課程修了(ベトナム)

日本人とベトナム人は、似ているところもあれば違うところもたくさんあります。本稿では、日本人とベトナム人の相違点をいくつか挙げてみたいと思います。

まずは、挨拶の違いです。日本では基本的に「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」と挨拶をします。ベトナムではそれらの言葉を全て「XIN CHAO(シンチャオ)」と言いますが、しかし、ベトナム人同士で「XIN CHAO」と挨拶することはごく希(まれ)です。この言葉は、相手にとても堅苦しい印象を与えてしまいます。少し親しくなれば老若男女関係なく、「どこに 行くの?」「ご飯食べたの?」というような言い方で挨拶します。おもしろいのは、これらは挨拶なので、質問に答えなくてもいいということです。もちろん答 えてもいいですけれど。

さらに、日本人は本当によく働くと思います。残業は珍しくなく、労働時間が長い上、さらに仕事に質を求められます。また「仕事での付き合い」はとても大事 なので、上司に誘われたり、接待があれば、待っている家族よりも優先します。終電があるので、日付が変わるということはあまりないようですが、帰宅時間は 22時、23時というのは珍しくありません。仕事して帰って寝て、翌日起きて、またその繰り返しの日々です。仕事は、人生・人格そのものだと思っている傾 向があります。

孤独死や自殺は日本の社会において大きな問題となっており、また、定年後なにをしていいか分からない日本人がたくさんいるという現状を、ベトナム人が知る と、「日本人はどうして両親や祖父母、家族をもっと大事にしないの」と悲しみます。ベトナム人は、家族を愛し、友達を大切にします。人と一緒にいる時間や 空間を優先します。しかし日本人は逆に、一人でいる時間や空間を最も大切にしているように思います。

以上の相違点に対して、ベトナム人と日本人との同じ点がいくつかあります。それは、冷静さや団結や相身互いな性格です。日本国民は、今回の地震でも誰もパニックに陥る人はいない。自分の仕事に集中し、連絡を取り合っていた。

それだけに、より日本にいて、私的に学ぶべき多くのことが分かった。

現在、ベトナムは発展途上の国であるために、国も国民も、留学生も頑張っています。

そして僕は、もうすぐ留学生活を終え、これからは社会人として日本で働かせてもらいます。その中からも、あらゆることを学びたいと思っています。

機関誌「ふれあい」 №74号 夏季号 (2011.7.25発行)