留学生の声 » アルウィン スプリアント

~留学生体験記~

『留学中に日本語や日本文化について学ぶだけでなく平和について考え日本独自の平和につながる行動もしなければならない。』

アルウィン スプリアント
(ARWIN SUPRIANTO)

第25期在日留学生
 東海大学
政治経済学部経営学科卒(インドネシア)

去年の8月ごろのある日、広島出身の友達が、とある号外新聞をくれました。漢字をあまり読めない私が新聞をもらうのは嬉しくないのが当然のことで、ちょっとした有難迷惑だと思いました。

「ありがとう」と言いながら、その新聞を読みました。広島原爆平和記念日の平和式典の号外記事でした。その時すぐには、全部読んでいませんでしたが、枠を付けて、部屋の壁に掛けたいなというぐらいの魅力的な内容でした。

この新聞のメッセージが私の心を動かしました。その新聞の中で祈っている人の写真を眺めながら、「この世界が平和になったらいいな」と思いました。「自分も平和の環境を作らなければならない。この平和を守りたい、この平和を世界に広げればいいんだ」と強く思いました。

合気道と香取神道流を練習して2年も経ちました。この自分ができる武道を通じて、平和に貢献できれば、平和に少しでも意味があると信じました。武道という ものは、武器、力だけではなく、精神が一番大切であり、その精神は何にでもつながります。その武道精神を生かし様々な平和な環境を作ろうと始めました。

私はパキスタン人のルームメートと住んでいます。彼とは何もかも生活スタイルが違います。最初のころは、掃除もしない、食器も洗わない、靴もそろえない彼 を叱ってばかりいました。しかし、彼のだらしがない性格を認め、それが彼の文化であると妥協し、言っても聞かないので叱っても意味がないということが分か りました。私が日本で生活して分かったことがあります。日本人の生活の中で相手に対して叱るということは愛情が少し入っているということです。

叱っている相手を思っているからこそ叱るということが分かりました。インドネシアで叱るということは、相手と喧嘩をしたい、相手が嫌いだという嫌悪感の表れです。

日本の文化で、叱るということを通じて、私はルームメートと喧嘩をしない平和な生活をつくりました。平和を実現をしたければ、最初は自分の心と考えを平 和・平穏にしなければならない。次に小さい環境から始めて、まわりの身近なところ、家族や友達から、小さい村へ、そして国へ、世界の平和づくりにつながる と思います。日本では何か夢や希望があり、何か努力したら、いつかそれが必ず手に入れられる国なので、私はあきらめずに「世界平和」を広島の人たちと一緒 に広めていきたいと思います。

こういう「世界平和」に関係する体験は母国のインドネシアとは違い、留学していなければ経験ができるものではありません。

なので、留学中に日本語や日本文化、専攻について学ぶだけでなく、平和について考えてみたり、日本独自の平和につながる行動もしなければならないと思いました。

機関誌「ふれあい」 №71号 秋季号 (2010.10.25発行)