留学生の声 » チャンリット シラ

~留学生体験記~

『これからの社会は他国と提携して 一緒に努力しながらお互いに成功するべき』

チャンリット シラ
(CHANRITH SIRA)

第25期在日留学生
 専修大学大学院
商学研究科修士課程修了(タイ)

私はバランスをとって、学生時代の人生を楽しみながら、一生懸命勉強した結果、タイの一流大学の機械工学部をを卒業できた。

卒業してからタイで3年間働いていた。タイのマスコミや教育などの影響で、タイは隣国に比べたら、すごいと感じて誇りを持っていたが、2006年に留学す るために来日してから、私の考え方が大きく変わった。日本はタイと同じアジアの国なのに、一体なぜ日本はこんなに発展できたのかと疑問を持ち、驚いた。日 本の国内総生産は世界第3位、日本人の平均年収は約4万6千ドルという先進国の状態である。

様々なインフラ設備が充実している中、鉄道制度は大変発展しているため、世界ナンバーワンと言っても過言ではないと思う。また、民営企業も世界的なブランドが数えられないくらい多く、ノーベル賞の受賞者も結構いる。

一方、タイは国内総生産は世界第30位、タイ人の平均年収は約4,900ドルであり発展途上の状態である。

その背景は、1867年に日本は明治維新を行って以来、工業や科学が順調に発展してきた。また、日本人は勤勉に夜まで働く。私が大学院から帰るとき、夜がふけかなり遅い時間にもかかわらず、帰りの電車は社会人で満員の状態である。日本ではこれが普通の光景である。

また、日本人の就職に対する考え方は企業と結婚するという姿勢であり、入社してから定年まで同じ会社で働く。その点については、企業の安定性が高く技術蓄積をしやすく、競争他社に技術流出問題を防ぐことができる。だから、日本企業はこんなに発展できたと思う。

一方、タイはラマ5世(1868年~1910年;現在ラマ9世)が政治を改善し、タイに近代国家を創るために、米国から様々な技術やシステムを導入し、鉄 道局や銀行や大学などを設立した。当時、国家に従属する公務員は、タイの社会に認められる仕事であった。教育を受ける機会のある王室、貴族、公務員の家族 たちは、ほとんど公務員になった。また、一般的なタイ民族は、多くの人たちが農業に専念していた。また、クーデターがよく発生することによって、タイの政 府の様々な政策がよく変わっていた。そこで、近代国家を支える技術者や科学者などが不足して、工業や科学などの発展が遅れた。

前述したように、同じ時期からスタートしたのに、タイの発展は日本より約50年遅れていると思うが、タイムスリップは実際に存在していないため、過去の失 敗したことから学んで二度とおなじ失敗をしないように努力することが必要だと考える。これからの社会は他国と競争して、勝つように努力することではなく、 国際的なコンフリクトをなくして、他国と提携して一緒に努力しながら、お互いに成功するべきではないだろうかと考える。

機関誌「ふれあい」 No.73号 春季号 (2011.4.25発行)