留学生の声 » 劉 楚 賢

~留学生体験記~

『日本語は日本人の心理的特徴や思惟方式や行動様式などを反映している。これからも日本語を面白く勉強していきたい』

劉 楚 賢
(LIEW CHU HSIEN)

 第25期在日留学生
 東京理科大学
理工学部応用生物科卒 (マレーシア)

マレーシア出身の劉楚賢です。

小さい頃から日本語に興味あり、高校卒業してから日本に留学する事にしました。来日してもうすぐ6年目になります。この5年間で日本語を一生懸命学んで、 日本の文化に関しても精一杯吸収するつもりでやってきました。日本で日本語を一から勉強した私は、最初はとても苦労しました。それは日本語が難しいだけで はなく、表現が曖昧なところがたくさんあるからです。

一番強く感じたのは、日本人は、自分の意見や感想などをはっきり示さず、ぼやかしてなんとなくにおわすようなことが多くあります。
例えば、友達からの誘いを断る時、私の母国語である中国語の場合だと、「ごめん、今日いけないです」とはっきり断ることがよくあるのに対し、日本人は 「すみません、今日はちょっと…」と答えを、はっきり言わないけれども、断りながら、相手の気持ちを配慮するので、気まずい仲にはなりません。

日本社会では、直接的な対立を避けるということから、断る場合でも、はっきりとは断らない傾向が見られます。また、日本社会には「和」という精神を持って、日本人は普通、他人と交際する時に、摩擦を生じないで、睦まじく交際するのが好きなようです。

もう一つの例をあげましょう。グループディスカッションのとき、明らか間違った私に、友達が「それもいいんですが、私は…と思います」と私を傷つけないよ うにしてくれました。マレーシア人の場合だと、自分の気持ちをちゃんと言います。それは相手のために出した言葉だから、はっきり言ったほうがいいだろうと 思いました。

しかし、日本人はよく相手の気持ちを考えて、相手の立場を考えて、迷惑をかけたくないから、時々本当の気持ちを、直接に言葉に出すことをしないようにしてます。そうすると、相手の気持ちを悪くさせませんし、良い雰囲気で会話を終えることができます。

たくさんの経験で、私はだんだん曖昧な日本語を理解してきたとは思いますが、もちろん日本人ではありませんから、分からないときは表情をみたり全体的な話 の流れから推測するしかないですね。たまには、推測できずに混乱することがありますが、あとで、よく考えると相手の言っている意味も理解できるようになり ました。

日本語は日本人の心理的特徴や思惟方式や行動様式などを反映していて、日本人の国民性が言語における一つの重要な反映だと考えられます。これからも日本語を面白く勉強していきたいと思います。

機関誌「ふれあい」 No.72号 冬季号 (2011.1.25発行)